日本のメディア業界の事情とは-歩み寄るアプローチが重要な理由
日本のメディアの特徴や日本人記者との付き合い方を学ぶことは、来日する経営幹部やすでに東京にいるスポークスパーソンのインタビューを手配する際に、最良の結果を得るのに役立ちます。
ビジネスで使われている言語が英語ではない
海外の金融業界のクライアントが最も受け入れがたいと感じる海外と日本の最大の違いは、言語の壁です。国内メディアの日本人記者は、英語でインタビューを行えるほど英語が堪能ではありません。
東京は香港やシンガポールとは異なり、ビジネスで使われている言語が英語ではありません。日本語が話せない海外から来日されたエグゼクティブには通訳者を手配するか、もしくは東京在住のスポークスパーソンのなかから日本語が母語である方、あるいは日本語を流暢に話せる方に取材の対応をお願いする必要があります。
国内メディアで英語が話せる記者を探してほしいというご依頼をいただくことはたまにありますが、見つかる可能性がとても低く、日本の記者は異動によって担当分野が定期的に変わることから、英語ができる記者の紹介や英語での取材を保証することは非常に困難です。日本のメディアには日本語で対応することを前提に計画を立てれば、取材機会の獲得に成功する確率は格段に上がります。
同様に、英語のプレスリリース、レポート、ファクトシート、スポークスパーソンのプロフィールも日本語に翻訳する必要があります。日本語に翻訳されていないコンテンツは読まれることはないでしょう。日本の記者は、ただ単にそのまま日本語に翻訳されたプレスリリースをそのまま記事にすることはありませんが、独自の記事を書くために追加情報やインタビューを要求することも時たまあります。
現地の記者との関係を維持することが最も重要
日本では、記者は人間関係の構築を非常に重要視します。つまり、ランチやディナー、オフレコのブリーフィングなどのイベントを通じて自社の歴史や専門分野、グローバル戦略における日本の位置づけなどを説明する機会を作るのが必要です。このようなイベントには、時間とリソースを費やすことが避けられないですが、それに値する効果が得られます。日本のメディアに自社のことを丁寧に説明することに尽力すれば、日本メディアの記者はさまざまな読者に御社のことを丁寧に紹介してくれます。
グローバルな文脈を持ちながらローカルに焦点を当てたストーリー
国内メディアの記者は、外国金融機関に対して2つの情報を求めています。一つは、すべての投資家や金融機関関係者が直面するトレンドやリスク要因に関する大局的な見解です。もうひとつは、日本の金融市場、日本への投資、日本の金融業界など、日本に関する見解です。日本から見た見解を含めずにグローバル視点からの見解だけを提供すると、記事を確保するチャンスが激減することがあります。ベストな方法は、グローバル視点からのストーリーの中に、日本から見た見解を必ず含めることです。
日本では、編集者やチームリーダーは記者がどんな記事を書くかについて大きな権限を行使し、記者が上司を説得して記事を掲載するために多くの情報を社内に提供する必要があります。記事掲載のハードルは他の国よりも高くなります。
その結果、日本の記者はインタビュー後にフォローアップの質問をしたり、インタビューのなかに出てきた議論を裏付けるデータを要求したりすることがあります。これは記者が取材した企業をより良く見せようと努力している証しであり、残されたハードルを確実にクリアしようとしている姿勢であると前向きに受け止めるべきでしょう。
日本でのビジネス展開を真剣に考えているのであれば、現地の習慣に関する知識を活用し、日本の記者とのお付き合いに時間をかけることで、取材機会を獲得するための地盤をより強化することができるのです。
CDR東京事務所 ディレクター スタンレー・ホワイト
スタンレーはコミュニケーション業界のプロフェッショナルで、メディア業界で最も影響力のある企業数社で金融ジャーナリストとしてアジアで20年以上の経験を積んでおり、政治経済と世界の金融市場に精通しています。
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